【エブリイ】クラッチケーブルの取り回しが悪い問題【DA17V 5MT】

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エブリイDA17Vの5MTで話題になっているギヤの入りが悪い問題ですけど、先日ディーラーにそれとなく聞いてみたら、対策部品も出ていないし、そんな話知らないとの塩対応をいただきました。知ってて言ってるのか、本当に知らないのか、どちらも問題なのですが、まぁ、予想通りの返答で、そんなもんだろうとあきらめております。で、根本的な改善策ではありませんが、とあるユーチューバーさんの動画で興味深い事を指摘されていたので実践してみました。

ギヤが入らない問題とは

そんなに年数を経ていない車両でも発生するらしい一速へのギア入りの悪さの問題ですが、一言で言ってしまうと、「レリーズベアリングとクラッチディスクの軸方向の動きが悪いために、インプットシャフトの回転が想定以上に持続し、ミッションのシンクロに影響を与えてギヤの入りが悪くなっている」と私の中では理解しているのですが、きっと異論があると思いますし、間違っているかもしれません。
で、YouTube界の方たちが良い動画をあげていらっしゃいますので、そちらを複数見て、何が起きているのかを自身で判断されることをお薦めします。私が確認したのは次のサイトです。検索すると他にもあると思います。掲載順に特に意図はありません。

問題点

では話を戻して、今回のクラッチケーブルの取り回しに関する問題点です。

次の写真は対策前のクラッチを踏んでいない状態のもので、クラッチのアウターケーブルがミッションケースに接続されている部分です。黒いノブがクラッチの遊びを調整するネジです。ケース内部のインナーケーブルとアウターケーブルを一直線にするのが理想なのでしょうけど、アウターケーブルの取り回しの制約で随分と角度が付いています。ノブの当たり面に隙間が出来るくらいです。

その状態からクラッチを踏むとインナーケーブルが引かれますので、次の写真のようにその張力によりアウターケーブルが移動しノブ部当たり面の隙間が無くなっています。本来であればクラッチを踏んでいなくてもこのように隙間が無いはずです。

さて、これの何が悪いのかって話ですが、クラッチペダルを踏んだときのインナーケーブルの移動量は一定で、その動きの100%がレリーズフォークを動かすために使われるのが理想です。しかしこの状態ではアウターケーブルが移動して調整ノブ部とケースとの隙間を無くすためにその何%かを使っていますので、レリーズフォークの移動量が少なくなっています。乱暴に言い換えると、理想のアウターケーブル角度の時よりクラッチの切れが悪くなるということです。逆に、同じ切れ具合だとしたらレリーズベアリングの戻りが悪いことになります。

対策方法

ということで、対策としては、アウターケーブルをなるべく一直線になるように取り回せば言い訳です。実際にはエアコンのコンプレッサーが邪魔をして一直線にはなりませんが、少しでも寄せた結果が次の写真です。クラッチペダルを踏んでいなくても調整ノブの隙間が無いことが分かります。

では、具体的な対策方法です。
運転席を跳ね上げた状態で上からでも作業できるかもしれませんが、下からアクセスした方が確実でしたので、私はアンダーカバーを外して作業しました。リジットラックに載せてます。

アンダーカバーを外すとオイルパンの上にクラッチケーブルが見えます。まず、対策前のコンプレッサー付近の写真をご覧ください。クラッチケーブルの保持はコンプレッサー前方にあるクランプのみで、そこから大きく湾曲してミッションケースに至っています。

この湾曲を補正するためコンプレッサー後部取付けねじ部分にタイラップで拘束します。あまり寄せすぎてケーブルがコンプレッサー等に接触しないよう注意します。

オイルパン上部という位置からも分かるように、タイラップで保持した部分は結構な温度になることが予想されます。少しでも強くなるよう二本で結束してみました。

対策はこれだけです。とても簡単です。

効果

まず、対策前のクラッチの遊びですが、良いか悪いかは意見が色々あるでしょうけれど、レリーズフォークの先端での遊びがほぼゼロに調整していました。ちょっと伝わらない気がします。言い換えます。インナーケーブルの太鼓部分とレリーズフォークの隙間を全く無くして僅かに引いている状態です。レリーズフォークが完全に戻りきっていませんが、レリーズベアリングがダイヤフラムスプリングを押し始めるまでには僅かに遊びが残っている状態です。
この状態で今回の対策をするとレリーズフォークが完全に後方に戻っています。太鼓との隙間も出来ました。レリーズフォーク先端で約1mmほど何にも拘束されないで動く領域が発生しています。なお、遊びの調整用ノブを触っていませんので、クラッチが繋がり始めるペダルの位置はほぼ変わっていません。したがって実際のクラッチ操作でもほぼフィーリングは変わっていません。要するに、クラッチペダルを奥まで踏み込んだときのレリーズベアリングの位置は同じですけど、ペダルを離したときは、レリーズベアリングがより多く戻っていることになりますので、クラッチの機構としては良い状態と言えます。
ただし、遊びの再調整をしていないので、少し試走した感じではギアの入りにくさに改善はありませんでした。

クラッチ遊び再調整の必要性

対策により遊びに余裕が出来たため、もう少し遊びを詰めてクラッチが繋がり始めるペダルの位置を手前に持ってくることが考えられます。そうするとクラッチペダルを奥まで踏み込んだときのレリーズベアリングの位置がより深くなりギアの入りやすさに寄与するかもしれません。ただ、今回はあえて再調整をしていません。それは、タイラップの耐久性が信用ならない事に起因します。先述しましたようにオイルパン上部にてタイラップで固定していますので、タイラップの耐熱性の問題によりいつ破断(または変形)してもおかしくありません。再調整をしていなければ、もし破断しても、対策前の状態に戻るだけですが、再調整済みだとレリーズベアリングの戻りが少なくなり、常にダイヤフラムスプリングに接触する状況となるかもしれません。というわけで、タイラップを使っている限りは、そういったリスクを避けるため、再調整はしないと思います。

確実な対策のために

安心して再調整するために、耐久性に不安のあるタイラップではなく、しっかりとしたクランプを製作するということを考えても良いかもしれません。幸い近くに既存のクランプ固定用のネジ穴がありますので、ここに丈夫な(金属製?)クランプを自作して共締めするとより確実にアウターケーブルを保持できそうです。もう既に作ってる人がいそうな気がします。

あとがき

さて、今回はクラッチケーブルの取り回しの悪さを少し改善して本来のレリーズフォークのストロークを取り戻す内容でした。体感的な改善はありませんでしたが、良い方向に進んでいるのは間違いないので気持ち的には大満足です。それもこれも、ギヤが入らない問題に関する情報を公開されているユーチューバーさんのおかげです。深く感謝いたします。ありがとうございました。

では、また次回。

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