デミオディーゼルのi-stop表示灯(橙)が点滅し始めた。システムの異常かバッテリの劣化が考えられるらしいが、すでに5年以上経過しているので、バッテリーの劣化であろうと勝手に判断して、交換することにした。最近の車はバッテリーを切り離すと何らかの設定を行う必要があるが、デミオも例に漏れずいくつかの設定を行わなければならない。この時の操作を備忘録を兼ねて記しておきます。
どんな症状が出たのか
症状としては、メーター内のi-stop表示灯が橙で点滅し、アイドリングストップしなくなったことと、マツダコネクトのウォーニングの画面に「バッテリーマネジメントシステム異常」の表示がでました。サービスマニュアルにはマスター警告灯が点灯すると書いてありますが、点灯してたかどうか記憶が定かでありません。

ディーラーに行って高いバッテリーを高い工賃はたいて付ける気は無いので、ネットで適当なものを購入しました。

選んだのはこちら。VARTA SILVER DynamicシリーズのS-100/130D26Lです。メーカー指定はS-95ですが、外寸が合えば容量は大きくても問題なしと言うことで、S-100を選択しました。税込み送料込みで\13,000円でした。アイドリングストップ対応でしたらどれでも大丈夫と思いますが、一つアドバイスがあるとすれば、持ち上げるハンドルが付いているものがいいですよ。そこかい!って突っ込まれそうですが、純正のバッテリーを取り外すときに重くて大変でした。
交換作業自体については特別なこともありませんので、今回は割愛します、交換後の設定に重きを置きます。
バッテリー交換によっておこる不都合なこととは?
そもそも、バッテリを交換するとどんな不具合が起きるのでしょうか?まず、そこをまとめてみました。
充放電積算量
最近の車はバッテリーの状態をコンピュータで管理しています。デミオの場合、バッテリーのマイナス端子付近にある電流センサーにより充放電電流がコンピュータ(PCM)に送られ、充放電積算量として管理されています。この値が所定値を超えるとバッテリー劣化と判断して、i-stop表示灯(橙)の点滅で知らせるとのことです。したがって、バッテリーを交換したときに充放電積算量のリセットを行わないとバッテリーの管理が出来なくなるわけです。
以下に記す不具合はバッテリー交換だけでなく、整備などでバッテリーを切り離したときにも起こる現象です。
i-stop制御
通常ならばアイドリングストップが起きる条件でもエンジンが止まりませんので、体感的におやっと思います。PCM内の情報が消去されたことによって起こります。バッテリー状態初期設定を行うことで解消します。この設定の途中でハンドル舵角センサーの初期設定も行います。
充電電流制御
こちらは体感できませんが、電圧計を付けている方ならわかります。バッテリーへの充電は常に行われているのではなく、減速時や電装品の高負荷時など限られた条件でしか充電されません。燃費改善のための制御です。この制御が出来なくなり常に充電している状態になります。この症状は上記のバッテリー状態初期設定を行うことで解消します。
パワーウインド
パワーウインドスイッチでオート操作をしても上端または下端まで自動で動かなくなります。パワーウインドシステムの初期設定で解消します。
オーディオ、時計
取り付けているオーディオの種類によっては設定内容がクリアされる場合があります。こちらについては、今も昔も変わり有りませんので、今回は取り上げません。
バッテリー交換後の設定詳細
ここからは具体的にどうやって設定していくのかを解説します。
バッテリー充放電積算量のリセット
バッテリーを交換した場合はまず、こちらの操作でバッテリー充放電積算量のリセットをした後にバッテリー状態初期設定に進みます。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | 全てのドアを閉める。 |
2 | イグニッションスイッチをON(エンジン停止)にする。 |
3 | セレクトレバーをNレンジにする。(AT) シフトレバーをニュートラル位置にする。(MT) |
4 | ブレーキペダルを踏み込んだ状態で以下の操作をする。 1.5秒間以上アクセルペダルを踏み込む。 2.充電警告灯とマスター警告灯が点滅することを確認する。 3.アクセルペダル踏み込み/開放を3回行う。 4.充電警告灯とマスター警告灯が消灯することを確認する。 |
5 | イグニッションスイッチをOFFにする。 |
6 | バッテリーのマイナス端子を切り離す。 |
7 | バッテリー状態初期設定を行う。 |
バッテリー状態初期設定(i-stop設定)
事前確認として以下の操作を行います。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | バッテリー(-)を切り離した状態で5分以上経過してることを確認する。 |
2 | 電流センサーのコネクタを切り離す。 |
電流センサーはこちらです。

5分以上放置する理由は、「バッテリーの使用状況によっては電圧が安定しておらず、PCMがBATT_SOCを正しく判断できないため」だそうです。
続いて、次の操作を行い、i-stop表示灯の状態でバッテリーの状態を確認します。
緑色で点滅したら次の手順に進めます。
バッテリーの接続の前に電流センサーを接続すると、PCMが電流センサーからの信号を誤認識し、バッテリー状態を誤学習する恐れがあるので、つなぐ順番を守るようにとのことです。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | バッテリー(-)を接続して、10秒以上待つ。 |
2 | 電流センサーのコネクタを接続する。 |
3 | イグニッションスイッチをON(エンジン停止)にし、15秒以上(1分以内)待つ。 |
4 | i-stop OFFスイッチをi-stop表示灯が点滅するまで押し続ける。(約10秒間程度) ・i-stop表示灯が緑色で点滅する場合、次の手順に進む。 ・i-stop表示灯が橙色で点滅する場合、バッテリーの点検をする。 ・i-stop表示灯が橙色で点灯のままの場合、何らかの不備があるので事前確認からやり直す。 |
5 | イグニッションスイッチをOFFにする。 |
橙で点滅した場合は電圧不足とかが考えられるとネット記事で読みましたが、裏はとれてません。私の場合、購入したバッテリーをそのまま補充電も無しに取り付けましたが、無事緑の点滅でした。
続いて、ステアリング舵角センサーの初期設定をします。なぜここで、この順番で、と不思議に思いましたが、サービスマニュアルにそうありますので、従います。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | ボンネットを閉じる。 |
2 | エンジンを始動する。 |
3 | ステアリングホイールをロック トゥ ロックする。 |
4 | イグニッションスイッチをOFFにする。 |
デミオのボンネットにはスイッチがあって開いてるのか閉じてるのかの信号がPCMに伝わってるので、必ず指示の通りに締めましょう。
次の操作を25秒以内にする必要があります。手順を頭に入れて進みましょう。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | イグニッションスイッチをON(エンジン停止)にする。 |
2 | 5秒以内にi-stop OFFスイッチを3秒間以上長押しする。(i-stop表示灯(橙)が点灯する) |
3 | エンジンを始動する。 |
4 | i-stop OFFスイッチを1回長押しする。 |
5 | i-stop表示灯が橙の点灯から緑の点滅に切り替わることを確認する。 *橙の点灯が続く場合は手順の不備があるため事前確認からやり直す。 |
6 | ここまでを25秒以内に終わらせます。引き続き次の手順へ。 |
7 | i-stop表示灯(緑)が消灯するまでアイドリング状態で待つ。(電気負荷無し) |
8 | i-stop表示灯(緑)の消灯を確認して、イグニッションスイッチをOFFにする。 |
ここまでの操作でバッテリー状態初期設定は完了しています。後はi-stopの制御が出来ているか確認します。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | エンジンを始動し、i-stop表示灯が消灯していることを確認する。 |
2 | 車速4km/h以上で走行したときにi-stop表示灯(緑)が点灯することを確認する。 |
3 | 車両を停止させi-stop制御によるエンジン停止と再始動が行われることを確認する。 |
以上でバッテリー状態初期設定が完了です。この手順はディーゼルのもので、ガソリン車は若干異なっています。
パワーウインドシステムの初期設定
以下の手順で設定します。
手順 | 操作内容 |
---|---|
1 | イグニッションスイッチをON(エンジンは停止、始動どちらでも良い)にする。 |
2 | パワーウインドスイッチ(運転席)を操作し、運転席の窓を全開にする。 |
3 | パワーウインドスイッチ(運転席)を操作し、運転席の窓を全閉にした状態を2秒以上保持する。 |
4 | パワーウインドスイッチ(運転席)で、オート操作ができることを確認する。 |
初期設定をしなかったらどうなるのか
先日、エアコンのコンデンサに不具合があるとのリコールでディーラーにデミオを預けたときの話しです。作業完了の知らせを受けて引き取りに行った帰り道で、充電制御が出来ていないことに気付きました。アイドリングストップもしません。帰宅後、電話でディーラーのサービスへ確認をしたところ、バッテリの接続を外しての作業後に初期設定を忘れてしまったと説明を受けました。そのときの説明の中で、しばらくそのままの乗ってると勝手に初期設定が完了し、アイドルストップもするようになるとの話がありました。自分で初期設定する気満々だったので、しばらくがどれくらいなのか、の確認もしなかったし、直ぐに初期設定をしてしまったので、本当に勝手に初期設定が終了するのかもわからないままです。ディーラーに直ぐに持ってきてくださいとかの慌てたそぶりが無かったので、問題なく初期設定は完了するのでしょう。きっと。
一方、バッテリー交換をした場合は、充放電積算量のリセットが勝手にされるとは思えないので、リセット作業が必要になってくると思われます。
あとがき
バッテリー交換後やバッテリーを切り離したときの初期設定について記してみました。文章にすると面倒くさそうですが、やってみるとそうでもありません。かといって、お薦めもしませんよ。あくまで今回のは備忘録です。全て自己責任でお願いします。
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