セロー250 リヤサスペンションのリンクにスラストワッシャー入れてみた。

部品・用品

先日公開した、「リアサスペンション 新車のリンクにグリスは足りているのか?」という記事でリンクを分解した際に、気になっていたことがあります。コネクティングアームとリレーアームとの隙間が大きく、片方によってしまっている状態が見受けられたことです。何十年もの間、改良を重ねてきた最終モデルですので、問題があるのなら改良されているはずですし、もしかすると目的があっての隙間かも知れませんが、見た感じなんだか気持ち悪いので対策します。


気になるところ

気になる部分の写真がこちらです。コネクティングアームとリレーアームとの隙間が約4mm程(右側矢印)あります。スイングアーム側にも同様に隙間が存在します。リンクに荷重があまりかからない状態だと、コネクティングアームを手で動かすと簡単に左右に動きますが、乗車中に左右に動いているのか、どちらかに寄ったままなのかは定かではありません。

後輪前側から見たところ。写真下が車両前方です。

左側矢印部分のようにどちらかの端まで寄ると金属同士が直接擦れているようにも見えます。この状況を改善したいので、それぞれの隙間にスラストワッシャーを挿入して見ることとしました。


購入したスラストワッシャー

アーム部分をばらして各部寸法を確認した結果、ワッシャーの寸法は内径17mm、外径30mm、厚さ1.5mmがベストと判断しました。ある程度のスラスト方向の荷重にも耐えることを考慮して、オイレス工業のドライメットSTシリーズの70W-1715を試してみます。購入はモノタロウです。三層構造の摺動面は含油ポリアセタールになっていて、無給油潤滑を謳っています。購入してみて初めて分かったのですが、この含油ポリアセタール層がセローのリレーアーム内のブッシュの内面と酷似しているんです。サービスマニュアルでは一応リレーアーム内のグリス指定がありますが、長年の未整備で、もしグリスが切れてもある程度の潤滑を担保するために、このドライメットシリーズのブッシュを採用しているんじゃなかろうかと思ってしまいました。あくまでも想像ですけど。

摺動面の凸凹具合が、リレーアーム内のブッシュ内面とそっくり。
バックメタル層の様子。見た目は銅。穴は廻り止め用ですが、今回は用途が微妙に違いますので必要ありません。
上側が含油ポリアセタール層。中間層は青銅焼結層だそうです。
リレーアーム内部のブッシュ。グリスを塗布していますので、内面の様子がよくわかりませんが、
含油ポリアセタール層とよく似ています。

詳しくは次のリンクを見てみてください。メーカーのサイトに飛びます。
オイレス ドライメットST
カタログ(PDF)


装着

装着のため分解していきますが、アーム部分のみでしたら後輪を外す必要はありません。その際、アーム部分の荷重をコントロールするために微妙に高さを調整できるメンテナンススタンドがあればシャフトの抜き差しが大変楽になります。
取外しはコネクティングアームの上下2箇所のネジを緩めるのみですが、無理して注意点を上げるとすると、スイングアームに固定してあるチェーンガイドが邪魔で工具が入りませんので、下側のボルトのみを外しておきます。

チェーンガイドはゴム製なのでこのネジを外してたわませるとレンチが掛かるようになります。

ボルト2本を抜くとコネクティングアームが外れます。内側の摺動痕を確認しましたが、問題になるほど擦れ合っている痕は無いようです。

左側がスイングアーム側。わずかに擦れた痕があります。左右ともに中心部の深い傷はスペーサーの圧痕です。

ワッシャーのサイズ感はこんな感じです。スペーサーの外径が17mm、コネクティングアームの外径部分が30mmで、ワッシャーと同じサイズです。仕様上のワッシャー内径が17mmだったので、実物を確認するまでスペーサーとのはめ合いが気がかりでしたが、絶妙なはめ合いで、ぬるぬると入っていきました。なかなか良い精度で出来ています。

左側に立ててるパイプがスペーサー。

無給油で良いらしいですが、一応薄くグリスを塗って装着しました。ただ、あとになって思うと、ホコリを呼ぶだけだし、完全ドライが良かったのかなと思ったりもします。

装着して規定トルク(59N·m)で締め込んだ状態です。 写真ではほぼ隙間なく見えますが、測定上では、リレーアーム側が0.6mm、スイングアーム側が0.4mmありますし、先の尖ったものでワッシャーをつついてみると4箇所とも回りますので、隙間の確保は出来ているようです。

チェーンガイドの固定ボルトを忘れませんように。

今回はコネクティングアームの隙間を触ってみましたが、実はリレーアームのフレーム側にも隙間があります。全ての隙間を取ってしまってガチガチにするのには危険を感じたのであえて触っていません。そのへんの理由はあとがきで。


あとがき

当然ではありますが、ワッシャーを入れたからと言って何か変化を感じられる訳ではありません。金属同士が擦れ合ってないという気分的な満足感を得られるのみです。もしかすると、あの数ミリの隙間で、リレーアームのフレーム側取付部、スイングアーム側取付部、およびショックアブソーバー取付部の芯のズレを吸収する設計なのかも知れませんし、路面からの入力でスイングアームがたわんだ場合の逃げなのかも知れません。しばらく乗った後にワッシャーの摩耗具合を見てみて、問題がありそうだったら再検討しようと思います。

では、今日はこのへんで。

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