セロー250 リアサスペンション 新車のリンクにグリスは足りているのか? グリスアップ必須?

serow メンテナンス

とあるバイクショップのブログ記事で、新車時のリアサスペンション周りのグリスが足りないよ。っていうのを読んだ記憶があリます。気にはなっていながらも、長らく放置していましたが、ようやくリアサス周りの分解を決行しました。さて、結果はいかに。

分解の目的

リード文にも書きましたが、新車時のリンク内のグリス量を確認することが目的のひとつです。既に新車と呼ぶには相応しくないですが、未だに雨の日には乗っていませんので、リンク内部のグリスは新車時に近いと思っています。
もうひとつの目的は、グリスをスズキ機工のベルハンマーにすることです。ネット記事等で人気?の商品で、私も複数を利用して、効果は実感済みですので、新車のうちにぬりぬりしておこうという魂胆です。

整備に必要な工具

今回は特殊工具が必要ありませんので、一般的なメガネレンチ、六角レンチ、ソケットレンチおよび、トルクレンチで大丈夫でした。使ったサイズは以下のとおりです。

メガネレンチ:8mm、10mm、14mm、17mm、19mm、22mm
六角レンチ:4mm、5mm
ソケット:14mm、17mm、19mm

ボルト-ナットでの締付け箇所が多く、ボルトが空回りしますので、レンチが2本必要な場面が結構あります。同じサイズが2本必要なのは17mmです。
スイングアーム付け根部分のボルトナットに関してはフレームのリブが邪魔をして、メガネレンチでは作業性が悪かったのでソケットでの作業がおすすです。

トルクレンチは測定範囲が42~210N·mと20~110N·mの2本を使いました。
下回りなどの体勢が悪い場所の締め付けは、力のかかり具合がわかり難いので、トルクレンチでの締付けをお薦めします。アマゾンとかでトルクレンチを検索すると、中華製のお安いものから、KTCとかのとても手が出ないものまでヒットしますが、サクラ以外の口コミがある程度良ければ、安いもので十分だと思います。ちなみに私は、モノタロウブランドの台湾製を使っております。と、薦めておきながら、プラスチック部品などを固定する8mm10mmのボルトは面倒なので感覚で締めてしまいました。

分解手順

1.メンテナンススタンドで車両を支えます。
微妙に高さを調節できるタイプであれば、リヤタイヤが浮くか浮かないかの高さまで持ち上げると作業性(アクスルシャフトの抜き差しが楽)がいいです。

2.作業に邪魔そうな部品を外します。今回は、 ドライブチェーンケース 、フレームカバー、ドライブスプロケットカバー、シート、サイドカバーを外しました。リヤショック本体を外しませんでしたのシートとサイドカバーは外す必要はなかったみたいです。

3.リアホイールを取り外します。
アクスルシャフトを抜いてリアホイールを外します。この際、一旦ホイールを前方へずらしてチェーンをスプロケットから外します。チェーンのアジャストプレートの位置を覚えておくといいです。ちなみに抜いたアクスルシャフトにはグリスを塗った形跡がありました。

リヤブレーキのキャリパーはアクスルと共締めでシャフトを抜いてホイールを外すと、自動的に外れて宙ぶらりんになりますので、スイングアームのクランプからホースを外して、針金などでどこかに吊っておきます。スイングアームの奥の方でネジ止めしてあるブレーキホースホルダーも忘れないように外しておきます。リヤショックとリンク部を隠すようにぶら下がっているフラップガードも外します。

リヤホイールを外したら、ブレーキペダルを踏まないよう注意。

4.コネクティングアームのスイングアーム側のボルトを抜きます。ただ、ドライブチェーンガイド(黒いゴムの部品)が邪魔で工具が入りませんので、下側の固定ボルトを外します。簡単に曲がりますので、完全に外す必要はありません。この時点でスイングアームがフリーになりますので、ロープか何かで吊り上げると後の作業が楽です。
5.コネクティングアームのリレーアーム側のボルトを抜いて、コネクティングアームを外します。

コネクティングアームを外した状態。


6.リレーアームとリヤショックアブソーバ下側の接続を外します。


7.リレーアーム車体側のボルトを外してリレーアームを取り外します。

8.スイングアームのピボットシャフトを抜いてスイングアームを取り外します。

全てを外した状態。スイングアームにネジ止めしてあるブレーキホースホルダーを外し忘れないように。

リンク内の現状

ここからが、今回の本題です。さぁ、グリスはたっぷりと塗ってあったのでしょうか?

まずは、リレーアームのスペーサーから。写真ではよくわかりませんが、一応、油脂分が付着しています。ただ、あまりにも少ないです。既にショックアブソーバとの連結部のスペーサーには、かじった跡がありました。

続いて、リレーアームのショックアブソーバとの連結部分内部。オイルシールの縁などにもグリスらしきものはほぼありません。スペーサーが接触するブッシュ内面がグリスでしわになっているように見えますが、ブッシュの表面処理でシワが入っているように見えるだけで、決してグリスが潤沢に塗布してあるわけではありません。

コネクティングアーム連結部分。こちらも少なめ。グリスっぽく見えるのも同様にブッシュの表面処理です。中央のへこみ部分にももう少し欲しいかな。

車体との連結部。唯一のベアリングです。写真に見えるローラーの間の茶色の”もの”が何なのかが不明です。グリスよりは明らかに硬くて、潤滑成分が飛んで固くなったグリスというか、劣化したプラスチックのようなというか、先の尖ったもので突いてみると、結構硬いのだけれど、頑張れば、ぽろぽろと剥がれます。もしかすると、染み込んだ油分をキープしてくれる新手のリテーナーなのでしょうか。新品が見てみたくなりました。

スイングアームのコネクティングアーム接続部。

スイングアームピボット。オイルシール部分には他の箇所より多めのグリスが塗ってありました。

スイングアームピボットシャフト。オイルシールあたりのグリスと明らかに違うグリスが塗布してあります。量もリレーアームに比べると多めです。

全体的に見て、このグリスの封入量で何年耐える設計なのかヤマハさんに聞いてみたい気がします。素人判断ですけど、もう少し入っててほしいですかね。

組み立て

さて、気を取り直して、グリスをたっぷり封入しながら組み立てていきます。

グリスアップ

まずは、リレーアームから。内部にはたっぷり塗ってますが、外回りに残ってると、ホコリを呼びますので、外部はしっかり拭き取ります。

スイングアームのピボットおよび、コネクティングアーム取付部も同様に封入し、外部を清掃しておきます。グリスとは関係ありませんが、ドライブチェーンガイドを外している場合は先に取り付けておく方が作業性がいいと思います。ただし、下側の取り付けボルトはコネクティングアームを取り付けてからです。

ピボット、コネクティグアーム連結部にもグリスをたっぷり。
ドライブチェーンガイドは先に取り付け。ただし、下側固定は後で。

使ったグリスは、スズキ機工のLSベルハンマーグリース No.2 です。 ちょう度は ”2” です。 ちょう度が ”0” の製品もありますが、ちょっと柔らかすぎな気がしましたので、こちらにしました。ゴールドではありません。これを買った頃にはまだゴールドは出ていませんでした。今、買うのならきっとゴールドを買うと思います。

油脂類もやはり純正が一番でしょ。って方はこちらになります。

ヤマハ二硫化モリブデングリス

締付けトルク一覧

組立時に必要な、主要部分の締付けトルクを記載しておきます。

その他、締付けトルクが判明しているところを記載しておきます。
ドライブチェーンケース:4 N·m
ドライブチェーンガイド:5 N·m
ブレーキホースホルダー:7 N·m
ドライブスプロケットカバー:10 N·m

組立手順

分解時の逆手順で大丈夫です。

スイングアームを取り付ける。チェーンはスイングアームを取り付けてからでは入りませんので忘れないように w。
ピボットシャフトの締付けトルクは80N·m。
リレーアーム車体側を取り付ける。締付けトルクは50N·m。
ショックアブソーバ下側を取り付ける。 締付けトルクは40N·m。
コネクティグアームを取り付ける。 締付けトルクは59N·m。

チェーンカバーを取り付ける前にチェーンにオイルを塗っておきました。チェーンのオイルに関しては、全くいらない派、チェーン専用スプレー派、など色々いらっしゃいますが、私は、無給油はありえないし、かと言って異物を取り込むベトベトスプレーも嫌いなので、いつものように一コマづつ給油して、ローラーの内側とオイルシールに馴染んだ頃を見計らってウエスでとことん拭き取る方法を実践しています。ベルハンマー、どんだけ好きなん?って言われそうですが、原液使ってます。

塗布後しばらくしてウエスで容赦なく拭き取ります。

後は、チェーンの張り具合を確認して、外していたカバー類を取り付けて完了です。

あとがき

バイク屋さんのブログの通りでした。おかげでグリスをたっぷり補充することが出来ました。リンク部分の分解も思ってたほど面倒くさくないので、気になる方は早目のチェックをお薦めします。
リンク周りがこの有様だったので、もう一つの懸案であるステアリングヘッドのベアリングのグリス量も近いうちに確認する予定です。

では、今日はこのへんで。

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