Ultimaker Cura Arachne Engine Beta2 を使ってみたら思いのほかお気に入りな話

3Dプリンター

2021/11/27にリリースされた Cura Arachne Engine Beta2 の存在をご存じでしょうか?
興味本位でインストールして使ってみると、思いのほか良かったので、簡単にご紹介します。


Arachne Engine のお気に入りポイント

Arachne Engine が目指しているものは、ズバリ、可変ライン幅です。もちろん、アルゴリズムの変更はそれだけでは無いのですけど、私の最大のお気に入りが、可変するライン幅の実装です。例えば、次の図のような薄い壁があるものを設計するとします。

薄い壁を持ったトレーの断面図

このモデルの壁の厚さが、印刷するときのライン幅の倍数であった場合は、下図のようにスライス面のラインが綺麗に並び、何の問題もありません。

壁の幅がライン幅の倍数であれば綺麗に収まります。
(壁の厚さ:2mm、ライン幅:0.4mm)

ところが、ライン幅の倍数で無い場合には、無理矢理隙間を埋めようとしますので、断続的な動作になってしまう場合があり、フィラメントの流量変動が大きいことによる印刷不良や、印刷時の振動、それに伴う音なども気になるところでした。

壁の幅とライン幅に矛盾があれば、どこかにしわ寄せが。

今までは、こういったモデルの壁の厚さとライン幅の矛盾を回避するために、モデリングの段階でライン幅を考慮して設計するか、スライス設定時にライン幅を微妙に調整して対応していました。

内外壁の幅を微妙に調整して綺麗なラインで印刷できるよう試行錯誤していました。

ただ、ライン幅の微調整で対応できない場合はお手上げです。例えば、円弧状の壁を持ったモデルだと、壁の厚さは一定でもスライス位置によってスライス面の幅が変動するためです。

壁の幅がラインの幅の倍数でもR部分の下部に向かうほどスライス面の幅は徐々に広くなります。
どこかのスライス面では倍数でも、他では矛盾が生じてしまいます。

Arachne Engine ではこういった問題が一挙解決です。下図では、中央のラインが他のラインに比べて細くなって、ライン幅の矛盾を吸収しているのが分かります。

壁の幅がライン幅の倍数よりわずかに狭い場合の結果。

上図では中央のライン幅を可変させることで、対応するよう設定していますが、外壁内壁すべてのラインの幅を均等に制御することもできます。また、基本のライン幅からどの程度拡縮した場合にライン数を増減するのかの閾値なども設定できるようです。
Arachne Engineで増えている設定項目は下記のようになります。

新たに加わった設定項目のみを表示してみました。
値はすべてデフォルト値です。
今回紹介していないものも含まれます。

各項目の詳細については、正式リリースでArachne Engineが採用された時に検証してみようと思っています。


その他の気になるポイント

もう一つ気になるポイントがありました。薄い壁が分岐しているところでの内壁生成アルゴリズムです。今までですと、外壁と同じ角度で内壁が印刷されていました。

4.12.1での印刷結果。

これに対して、Arachne Engineでは、内壁がある曲率を持って印刷されています。羽根に力がかかったときの応力の集中が少なくなり強度のアップが見込めると思います。また、羽根の肉厚部分の内壁もライン幅が連続的に変化していて美しいです。

Arachne Engine での印刷結果。

Arachne Engineについての詳しいことは、公式サイトにある程度掲載されていますで参考になさってください。また、プラグインの”Settings Guide”にも図解なしの簡易版のようですが、説明書きがあります。


ベースは同じ

なかなか良い感じに仕上がっているので、普段使いスライサーとして使えるのか?といった疑問がわきます。基本性能が現在の4.12より劣っていると普段使いとしては躊躇してしまいますが、4.12で機能アップした、表面、側面の印刷品質の向上や新しいインフィルのライトニングなども含めて、最新のCuraの改善が採用されているようです。また、新しい設定項目以外は日本語表示になります。
ということで、私はこのベータ2を普段使いとして採用決定です。


インストールについて

と言いながらも、もし何か不都合な事が起きれば直ぐに4.12に戻りたいので、正式リリースを残したまま、ベータ版をインストールできるのか確認してみました。
結果は、特に問題ありません。同時に起動して、スライス結果を比較することもできます。

左が4.12.1、右がArachne Engineです。同時起動も問題ありません。日本語表示にも対応です。

スタートメニューのフォルダは共通でインストールできます。

両バージョンをデフォルトのフォルダ設定でインストールすると、Ultimaker Curaフォルダに収まります。

ただし、4.12.0と4.12.1を同時にインストールした時と同じで、片方をアンインストールすると、スタートメニューのフォルダが無くなります。この件については、次の記事を参考にしてください。


あとがき

今回は、Ultimaker Cura Arachne Engine Beta2のざっくりとした紹介でした。新しい物好きの私にとって、使わない理由が見当たりませんので、即採用となりました。ちなみにArachneって何だろうと思ってググってみると、こんなのが出てきました。

アラクネー(Arachne)-Wikipedia

この話から、命名したかどうかは知りませんけど。

では、また。

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