エブリイ Joinターボ DA17V サイドブレーキ 調整 4WD 5MT

every メンテナンス

サイドブレーキの引き代の調整をします。サイドブレーキの引き代が変化する原因にはいろいろあり、何が要因でそうなったかを見極めることは大切です。それによって整備する場所が変わってきます。今回の記事はそういった原因を究明する話ではなく、単純にワイヤーの張り具合を調整してみましょうという内容です。


引き代の調整とは

サイドブレーキの引き代を調整する方法をネットでググってると、サイドブレーキのワイヤーの張り具合で調整する方法と、ブレーキドラムとブレーキシューの隙間で調整する方法のふたパターンが出てきて、一体どっちが正しいん?と思ったことありますよね。きっと。
記事を書かれている方はそれぞれに知識や経験があり、それらに裏付けされた記事であることは間違いないのですが、なんとなく疑問を感じるものも見受けられます。
今回の私の記事は、サイドブレーキの引き代の調整はワイヤーの張り具合を調整することであるという考えの元で書いています。ブレーキドラムとブレーキシューの隙間の調整は、あくまでも隙間の調整であって、隙間の調整が適切に行われていることが前提ではじめて引き代の調整が出来るということです。


基準値

ではまず、基準値を見ておきましょう。取扱説明書では、次のように書かれています。20kgの力で引いた時に5~8回カチッカチッといえば良いようです。

引く力を計れるバネばかりみたいなものがあれば良いのですが、私は持ち合わせていませんので、20kgってこんなもんだよね~と適当に引いてます。


調整ナットはどこ?

調整用のナットはセンターコンソールボックスの下に隠れています。4箇所のクリップで固定されていますので、クリップを取り外します。後部のクリップはシートを前にスライドすると外しやすいです。

左右同じ場所にクリップがあります。

逆に前側のクリップはシートを後方にスライドすると外し易くなります。

前側のクリップも左右にあります。

センターコンソールボックスを前方にずらしながら取り外します。

サイドブレーキを引いた状態で前方に外します。

後部座席側に調整用のナットがお目見えします。


調整方法

アジャストナットをスパナで回して引き代を増減させますが、ナットを回すときには、サイドブレーキを解除します。解除した状態である程度回して、一度レバーを引いて、引き代を確認し、目標のノッチ数でなければ、もう一度解除してナットを回す、を繰り返して調整していきます。最終的に基準内で好みのノッチ数に収めます。
回す方向は、アジャストナットを締め込む方向(ワイヤ端から見て時計回り)でワイヤーの遊びが少なくなって引き代が少なくなります。

緩み止め付きのナットといえども、ロックナット無しで変動しないのかしらと不安になるのは私だけ?

調整する上での注意点

ワイヤーの遊びを意識する

ワイヤーにはある程度の遊びが必要です。調整していく際に、アジャストナットとそれが当たる金属プレートの間に全く隙間がなくなっても(ワイヤーに遊びがない状態)、引き代が基準値より多い場合は、ドラムとシューの隙間が大きすぎる可能性がありますので、そちらの点検が先だと思います。これを無視してアジャストナットを締め込んでいけば、引き代だけを見れば正常値に見えますが、ブレーキドラム内の部品の作用なども含めて本来の設計意図と異なってきます。(壊れるわけではありません)
私の車両ではアジャストナットとプレートの隙間を、0.5mm程度(ワイヤー端部を軽く引っ張った時)にしていますが、その状態で5ノッチの引き代になっています。

左右のバランスを見る

サイドブレーキは左右のタイヤで均等にワイヤーを引く必要があるため、サイドブレーキレバーとドラムの間の何処かにイコライザーと呼ばれる部品でワイヤーが分岐されています。車種によってはアジャストナットのすぐ近くにあり調整中に目視できますが、エブリイの場合、車両下から覗かないと確認することができません。左右のどちらかのワイヤーが固着しているとか、ドラムとシューの隙間に左右差があったりする場合に、このイコライザーの傾きである程度異常に気付くことができます。わざわざジャッキアップして確認するのも面倒ですので、オイル交換などでジャッキアップした際にでも見てみると良いと思います。

正常な状態。ミッション後端の左、トランスファの上辺りにあります。
ドラムとシューの隙間の左右差などで傾きます。極端な例を再現しています。

ドラムとシューの隙間は自動調整におまかせ?

ちょっと脇道にそれますが、
ネット上の議論でドラムとシューの隙間は自動調整にまかせていいのか問題が時折囁かれます。自動調整が~とか言ってるやつはアホ、みたいな論調もありますが、私は自動調整に任せておく派です。

確かに、私のエブリイの場合、自動調整された位置から3ノッチくらいアジャスターを進めてもシューとドラムが接触することはありません。調整してしばらくは気分は良いのかもしれませんが、全周で20ノッチくらいありそうですので、3ノッチあたり54°です。アジャスターボルトのピッチがもし1mmだとしたら0.15mm隙間が狭くなった計算です。私の鈍感な運転能力では感じ取れないでしょう。きっと。というわけで、自動調整で十分です。それよりも、自動調整がいかれた時のために、ワイヤーのいつもの遊びでどの程度の引き代なのかを把握しておくことの方が大切な気がします。


あとがき

さて、今回は重要保安部品であるブレーキに手を出してしまいました。間違った整備をしてしまうと大変なことが起きてしまうかもしれません。ネット上のいろんな意見を参考にしながらも鵜呑みにすること無く、実物をよく観察して、構造を把握して、動きを理解して、何故そうするのかを納得した上で作業することが大切だと思っています。まぁ、理解していたつもりでいても、実際やってみるとおゃっと思うこともよくあるんですけどね。

では、きょうはこのへんで。

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