2021/06/18にCuraの新しいバージョン「4.10.0-beta」が公開されました。今回のバージョンアップはCuraのProfessionalもしくはExcellenceを使っている人向けの機能アップがメイントピックスのようです。Free版を使ってる人にとってはあまり変化はありません。残念。過去の例からするとベータが公開されてから1ヶ月以内で正式版が出ているようですので、まもなくお目にかかれると思いますが、一足先に、現在の正式版「4.9.1」からの変更点を見てみたいと思います。
なお、Anycubic Mega-s ユーザーの目線での記事になってますので、かなり偏ってます。ご了承ください。
2021/06/30:追記
4.10.0の正式版がリリースされました。
ベータ版からそんなに変更されてないようです。ざっと見てみましたが、未翻訳だったところが翻訳されたくらいの違いしか確認できませんでした。
ネイティブCADファイルのインポート
モデリングした後にSTLファイルに変換すること無く直接インポートできるプラグインが使えるようになりました。これが今回のバージョンアップの目玉のようです。無料版の私には無縁のアップデートで、確認のしようがありませんので、これ以上触れないでおきます。詳しいことは、英語ですが、公式サイトにあります。興味のある方はどうぞ。
Digital Factoryとの連携強化
こちらも個人で使ってる人にとっては関係ないですが、Digital Factory との連携が強化されたようです。Digital Factoryが何なのかもよくわかってないので、パスです。
起動時にロード中のプラグインを表示
Cura起動時に、ロードされるプラグインが表示されます。ただ、表示が早すぎてほぼ読み取れませんでした。日本語に設定していてもプラグインの部分だけは英語で出てきます。

ただし、英語。 正式版では和訳してくるかな。

プレビュー画面でフローを可視化
プレビュー画面のカラースキームで「Flow」が選択できるようになりました。フィラメントの流量の違いを色で可視化してくれます。下図の流量分布の範囲はスライス結果により変わってきます。前回のバージョンアップのときも和訳が間に合ってなかったので、ここもフローあたりに変えてくると思います。

FilamentChangeの仕様変更
フィラメント交換時の、プリントヘッドを印刷箇所から離す動作時に、Z軸の位置も指定出来るようになったようです。Mega-sでは関係のない設定なので、詳しいことはわからないです。
プリンタープロファイルの追加
プリンター及び材料のプロファイルがいくつか追加または変更されました。その中にAnycubic Mega ProおよびMega-Sが入っていましたので、i3-Mega との違いを見てみたいと思います。ちょっと長いので興味ない方は飛ばしてください。
プリンター追加の画面です。Mega-s と Mega-Pro が共通のファイルを使うようです。Proにはビルドプレートのレベリングの機能が何かついてたような気がするのですが共通で大丈夫なのですかね。

とりあえず、追加してプリント設定を見てみました。
プリント設定のデフォルト
プリント設定の各カテゴリーごとに比較していきます。デフォルトの値が結構変わっています。原則的にデフォルトの状態でのスクリーンショットを上げておきます。左側が「4.10.0 beta」で右側が「4.9.1」です。プロファイルはnormalの0.2mmを選択しています。
品質
初期レイヤーの考え方が変わったみたいで、レイヤー高さを高くして、ライン幅を100%にしています。betaにサポートに関する値がないのはデフォルトでサポートが無効のため表示されていないだけです。表示させた場合の値に変更はありません。


ウォール
[壁印刷順序の最適化]、[外壁補正] が変更されています。


トップ/ボトム
トップスキンとボトムスキンが7レイヤー分で厚くなっています。初期底面は1.5mmの厚さになります。他のスキンは1.4mmです。


インフィル
インフィルのパターンが変更になっています。また、[インフィル優先] が無効になっているので、インナーウォール、アウターウォール、インフィルの順番で印刷するようです。インフィルの角がアウターに影響するのを嫌ったのでしょうか。


マテリアル
[初期印刷温度]、[最終印刷温度] が変更になっています。


スピード
beta版は [加速度制御を有効にする] のデフォルトが無効になりました。ここでは数値の比較をするため有効にした状態にしています。加速度、ジャークに関しては変更がないようですが、各印刷速度、移動速度が微妙に変わっています。




移動
デフォルトでコーミングモードが無効になりました。有効にした場合でも[引き戻しのない最大コム距離] が設定されたので、30mm以上では引き戻し動作が入ります。また、引き戻しの速度が遅くなっています。



冷却
ファン速度を落としてきました。逆に初期層ではわずかに冷却しようとしてます。


サポート
デフォルトで無効になりました。



サポート構造のデフォルトがツリーです。大丈夫でしょうか?サポートを有効にして、後は完全にデフォルトで下図のようなサポートしか出来ません。はじめてCuraを使う人は結構困ってしまうような気がします。

数値の比較をするためサポートを有効にした状態でスクリーンショット撮ってます。4.9.1のデフォルトは標準のサポートですが、ツリーに変更しています。
色々変更があるようです。言葉で説明すると長くなるので、気になる方はじっくり見てみてください。




ビルドプレート密着性
種類ごとに違いを見てみました。
スカートはライン数を変えてるだけです。
プリント設定の推奨の画面(簡易設定の画面)で密着性にチェックが入っていない場合でも、スカートは印刷されますが、beta版の場合、サポートが有効になると”なし”がデフォルトになりスカートも印刷されません。


ブリムは幅を2倍に広げています。幅が2倍なのにライン数が2倍でないのは、[初期レイヤーのライン幅] が140% から 100% に変更されているためです。


ラフトは変更なしですね。ラフトベース厚さが変わっているのは、デフォルトが [初期レイヤー高さ] の120% だからです。beta版に加速度の表示がないのは、スピードカテゴリーの加速度が無効だからです。有効にしたときには同じように表示され、値も変わっていません。


メッシュ修正
こちらは変更なしです。


特別モード
ここも変更なしです。


実験
新しい何かが実装されてるとかは無いようです。チェックを入れて表示される項目のフローや速度が若干変更されてる程度です。


開始時Gコードの変更
ビルドプレートを温め始めて60秒後にプリントヘッドも加熱開始して同時に加熱するようになりました。印刷開始までの時間が少し、短くなります。
スカートを印刷しない場合などの、印刷開始時にフィラメントの押出不足を解消するため、5cmほどの印刷動作を入れてノズル内圧を高めています。
Mega-Pro用だと思われるビルドプレートのレベリングの命令(M420)が入ってます。これをMega-sに読ませると無視するかどうか試してみましたが、何事もなかったかのように印刷できました。ちなみに、私のMega-sは2019/11に購入したもので、ファームウェアのバージョンは 1.1.2 です。


終了時Gコードの変更
印刷終了後の処理はほぼ同じですね。ノズルが少し高めに退避しているのと、印刷完了のお知らせ音が3音に。


バグの修正
いろいろとバグ修正がなされたようです。あまり気になるものが無かったので省略します。気になる方は、英語ですけどこちらでどうぞ。
あとがき
ざっと触ってみて気づいたところを書いてきましたが、結局、新しい機能というと、プレビュー画面でフローを可視化出来るようになったことだけなんですかね。まだ何か気づけていない変更があることに期待しましょう。まぁ、きっと、正式版では色々修正してくると思いますので、またその時に検証したいと思います。
では、正式版のリリースを楽しみに待ちましょう。
今日はここまでです。
Curaに関する記事はこちら。
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