PLA樹脂は真夏の車内で部品として使えるのか? アニーリングと耐熱テスト

3Dプリンター

車内で使う部品を作るための材料として、もし可能なのであれば印刷が簡単なPLAを使いたいところですが、ネット上で散見される情報によると、ダメなことは明らかなようです。
結果はわかっているのですけど、どの程度ダメなのかとか、やはりやってみないとわからないし、諦めがつかないので、耐熱性を上げるアニール処理をしたものと、何もしていないものを比較するという、簡単な実験をして、車内のパーツとして本当にダメなのか考えてみました。


なぜ、PLA

車内で使うために耐熱性を求めるならABSとかにしとけばええやん、との声はごもっともなのですが、ABSが苦手なんです。まだ、1種類しか試してないので、購入したABSがシビアなのか、私の経験が足りないのかは定かではありません(間違いなく後者です)が、「なんでこんなに反るん」っていうのがABSに対する印象です。失敗する確率がやたらと高いのです。それにひきかえPLAの簡単さと言ったら。どんな形状(常識的な範囲で)でもほぼ失敗なしに出来ちゃいますものね。で、PLAを使いたがる理由をまとめるとこんな感じ。

  • 印刷が簡単
    これに尽きます。とにかく失敗が少ないです。印刷温度もプレート温度も低めで3Dプリンターへの負担も少なそうで精神的に楽なのもポイント高めです。
  • 匂いが好き(体への悪影響が少なそう
    例えば、ABS。印刷している時の匂いがきついです。如何にも体に悪そうで、成分を調べてみても、いい話は出てきません。それに対し、植物由来のPLA。匂いが悪くないです。というか、どちらかというと好きな香り。匂い的には圧倒的に体に良さそうですが、よくよく調べてたら、こんな記事も見かけました。
    3Dプリンタ材料が人間にとって有毒?!とする研究結果
    どのフィラメントを使うときでも換気には気をつけましょう。

アニール処理とは

印刷後に熱を加えて徐冷することにより、耐熱性や強度を上げるための操作をアニール処理と言いますが、素人の私がうだうだ説明するよりもプロの方が上手に説明しているサイトを見たほうが手っ取り早い気がするので、今回参考にさせてもらったリンクの一部を張っておきます。以下の3つのサイトは全て「Nature3D」というフィラメントなどを販売している会社の記事です。


供試体作成

使用したフィラメントはAnycubicのPLAでアマゾンで購入したものです。PLAフィラメントには、アニール処理を前提とした商品や、前提ではないにしても、一応アニール処理について考慮されている商品など、いろいろあるようです。今回のPLAがアニール処理を考慮した商品かどうかはわかりません。


幅15mm、長さ60mmで厚さが3.6mm、2.4mm、1.2mmの三種類の供試体を三組作成しました。 2.4mmと1.2mmは密度100%で、3.6mmは厚さ1.2mmのインフィル層(密度25%)が存在します。

三組の内、一組に対して、100°Cで、20分間のアニール処理を実施しました。使った熱源はタイマーが壊れて現役を引退したアラジンのオーブントースターです。一応、100°C の設定があるので、温度精度や温度ムラは気にしないこととします。また、熱源の影響で局部的に温度が上がるのを防ぐため、木材の間に挟んで加熱してみました。

四隅に供試体より厚いパーツを挟んでますので、木と供試体の間に隙間があります。

アニール処理後の供試体を手で曲げたりしてみても、曲げに対する抵抗力など、全く変化を感じとれませんでした。
また、平たいものを平たいものの上において加熱しましたので、変形などは特に見られませんでした。実際の部品で平らでないものに対して、アニール処理を施すときに、炉内でどの程度変形するのか、変形するのであれば、どう防ぐのかなどは、今後の課題とします。


実験開始

日当たりの良い場所に駐車して、ダッシュボード上に、供試体6本を両端支持で並べ、自重による変形を見ることにします。サンシェードなどで覆うことなく直射日光が当たる状態です。温度計は直射日光が当たらない場所と供試体横の2箇所で測定しています。

実験開始。温度センサーはこの後設置。数字を書いてるのがアニール処理を施した供試体です。

9:20に実験開始です。

12:10頃にふと気づくと日陰に入って、直射日光が当たらなくなっていました。少し短い気もしますが、既に反りも出ているのでここで実験終了としました。

終了時の状態。明らかに反っているのが見て取れる。

車内の最高温度は、ダッシュボード上で61.1° だったようです。


結果

以下の写真全てにおいて、左から順に、アニール処理なし、アニール処理あり、印刷したままで熱を加えていない供試体です。供試体の片方の端部を押さえて、もう片方が反りの分だけ浮いている状態を撮影しています。全ての厚さでアニール処理の効果があることに、期待が持てる反面、3時間弱という短い時間で全てに反りが出ている事実には厳しいものがあります。

厚さ:3.6mm
厚さ:2.4mm
厚さ:1.2mm  左端のアニール処理無しの供試体で8mmほど持ち上がってます。

あとがき

想像はしていましたが、何も荷重をかけない自重のみでの実験でこれですので、やはり厳しい結果ですね。何かを支えるようなパーツであれば、まぁ、間違いなく変形しそうです。かといって、PLAを完全に諦めたのかというと、そうでもなくて、直射日光の当たらない場所に取り付けるパーツだったら、構造を工夫するとなんとかなるんじゃないかと、淡い期待を捨てきれていません。もうしばらく、実装に向けてあがいてみます。

では、今日はこのへんで。

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