天井の防音断熱を行うためにルーフライニングを取り外しました。このルーフライニングを止めているクリップの穴が一部を除き単なる穴になっており、もし、この穴がネジだったら収納のためのラック等を設置するといった用途に使うことが出来ます。今回はルーフメンバーのクリップ穴にブラインドナットを取り付けてみた話です。なお、ナットの名称についてはメーカーによって、ローレットナット、リベットナット、ブラインドナットなど、様々ですがここではブラインドナットで統一します。
ブラインドナットとは
まずは、ブラインドナットをご存知でない方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しておきます。薄い板にネジを用いて何かを固定したい場合に利用するナットの一種で、次のような形状をしています。
薄い板に指定された直径の穴を開け(図左)、フランジ部分まで差し込み(図中)、胴体のネジが無い部分を変形させて薄い板をフランジ部と変形部で挟み込む構造(図右)になっています。
変形させるときには、専用の工具が必要となります。これがピンキリで、ネジのサイズ、作業頻度、予算などで選択する工具が変わってきます。
ネジを作る目的
ルーフメンバーにねじを設けて何をするのか? 実はまだ具体的な事は考えておりません。あくまで、ルーフライニングを外したついでに作業をしておくといった感じです。ですので、必要な強度も未知ですし、どのクリップ穴がねじであるべきかも不明です。というわけで今回は、適当なサイズのブラインドナットを、加工できる全てのクリップ穴に施工することとします。
ネジのサイズ
元々のクリップ穴のサイズは5mmです。
その穴に対し、約6mmのヒダを持つクリップが挿入されます。
そして、ブラインドナットを埋め込むための下穴径はネジのサイズにより以下のように指定されています。M8は全長が長すぎて収まらない箇所があるので選択対象から外しました。
- M4 下穴6.1mm
- M5 下穴7.1mm
- M6 下穴9.1mm
いずれのサイズを採用してもルーフメンバーの穴を拡げる必要性があります。強度的にはルーフメンバー自体がそんなに頑丈そうではないので、どのサイズでも良さそうです。で、選んだサイズはM6。選択の決め手となったのは、元々のクリップ穴とM6の下穴の直径がほぼ同じというところです。ブラインドナットを施工しても、ねじによる固定とクリップによる固定のどちらでも対応できるので、今回のようにとりあえずネジにしておくという時には最適なサイズだと思います。
準備した工具
穴を拡げるための工具と、ブラインドナットをかしめるための工具を購入しました。(以下に出てくる商品名はアマゾン(カウンターシンクはモノタロウ)の商品サイトにリンクされています)
テーパーリーマー
TR-03 (株式会社エンジニア)
ブラインドナットの下穴径である9.1mmまで穴を拡張するための工具。仕様上、直径は5mm~20mmで、テーパー角度は11°となっています。9mmのドリルで穴を拡げるという方法もありですが、開いた瞬間に天井鋼板を攻撃しそうで怖いのでテーパーリーマーでの作業を選択しました。
購入時に予想は出来ていましたが、ある程度まで拡張すると工具の先端が天井の鋼板に当たってしまうため、9mm程度まで拡げる事が出来ません。ルーフメンバーの穴から天井の鋼板までの距離は場所によって様々ですが、この工具の先端の直径が6.5mmになるくらいまでディスクグラインダで削って短くすることで対応しました。
ただ、元々の穴径5mmに入らなくなるので、6.5mmがはいるところまで別の工具で穴を拡げる必要が出てきました。
テーパーリーマー
TR-01 (株式会社エンジニア)
直径は3mm~12mmで、テーパー角度は6°のテーパーリーマーです。短くしたTR-03が使えるところまで穴を拡張するために使いました。こちらも6.5mmまで拡張しようとすると先端が当たるので、先端径を4.6mmくらいになるように短くして利用しました。
ハンドナッター
ちょっとナッター HNC06R (株式会社ロブテックス)
ブラインドナットをかしめるための工具をどれにしようかと色々悩んだのですが、結局こちらの簡易的な工具で作業をしています。作業効率を求められるわけでもなく、かしめることが出来さえすれば問題ないので、安く上がるこちらを選択しました。もっと楽に早く作業したいのであれば、レバータイプのハンドナッターも選択肢です。将来、M8以上のブラインドナットを施工する予定があるのでしたら買っておいても良いと思います。ただ、狭いところではハンドルが邪魔で作業できない場合があるようです。
ちょっとナッターの進化版で「ちょっとナッターII」というのもありましたが、メリットより価格差というデメリットの方が大きく感じましたので、選択しませんでした。使い方は動画をご覧ください。
面取り工具
カウンターシンク CS12 (モノタロウ)
テーパーリーマーで穴を拡げた際に出来るバリを取るために使っています。細い丸ヤスリでも良いのですが、作業が楽なのでこちらを使いました。裏側のバリは丸ヤスリで取ってます。
ブラインドナット
スチール ナットリベット M6 (ビークルラボ)
「ちょっとナッター HNC06R」に付属のブラインドナットでは、数が足りませんので、ブラインドナットを別途購入しました。ロブテックス製は高いので、安くてもあまり怪しくなさそうなものを選択したつもりです。この記事を書いている時点で、M6の在庫がないようなので、上記のリンクはセット品となっています。
作業手順
それでは、実際の作業手順を書いていきます。
穴を拡げる
工具の説明のところでお話ししましたように、工具先端が天井鋼板に干渉するため、二本のテーパーリーマーで徐々に大きくしています。最終的な穴のサイズはノギス等で測るわけではなく、実際に挿入するブラインドナットを何度か合わせながら作業しました。
バリをとる
穴拡張後、バリが盛大に出ますので、カウンターシンクと丸ヤスリで除去します。
ブラインドナットをかしめる
作業説明書通りで特に問題なくかしめることができました。
作業方法は動画の方が分かりやすいと思いますので、メーカーの公式チャンネルの動画をどうぞ。
動画では、どの程度締め込めば良いのかに触れられていませんが、製品に付属の説明書には、取り付ける板の厚さによって、かしめ代が変わることや、締めすぎるとダメよ、何てことが書いてあります。
で、結局は表など気にせず、ブラインドナットが空回りしなくなるまで締め込めばOKという気がします。
全部で13カ所かしめましたが失敗はありませんでした。
ブラインドナットのフランジの厚さ分だけルーフライニングの取付位置が下がります。1mm強程度ですので今回は問題ありません。
あとがき
「天井にネジを」ということでブラインドナットの取付にチャレンジしてみました。このネジを実際に使うことがあるのかどうか、現段階では微妙ではありますが、きっと日の目を見ることがあるでしょう。
次回はルーフライニングを外したメインの理由である防音断熱施工のことでも書いてみようと思います。
では、また。
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