【エブリイ JOINターボ】天井の雨音を何とかするぜ【DA17V】

every 改造

今回、天井に制振材や吸音材を施した最大の目的は、天井をたたく雨音を少なくすることです。最終的にはロードノイズなどを含めた車両全体の消音化を目指したいのですが、とりあえず雨音を何とかしようというのが今回の作業です。断熱は副次的な物として捉えていますので、あまり重要視していません。素材選びや貼付面積など色々悩んだ経緯と貼付の様子を記していきます。

素材選び

YouTubeやブログなどの溢れんばかりの情報を参照できる現在であっても、結局何が良いのかを判断するのが難しく感じます。効果検証が定性的なものであったり、定量的であっても施工前と後の差であり、投稿者により測定方法がバラバラということもあり、素材の比較という点では参考にし難い印象です。そんな中、大変参考になったのが、「SPA CHANNEL」というYouTuberさんの動画です。複数の素材の比較をここまで丁寧に実践していることに感心しました。気になる方は覗いてみてください。例えば次の動画等です。

他にも参考になる動画が何本も上がっていますので是非。

で、これらを参考にして選択の基準をどこに置くのかを考えたわけですが、安い素材でもそれなりに効果があり、少々性能が悪かったとしても施工前に比べると雲泥の差があることなどから、コストを最重要項目として掲げることとしました。

制振材

天井鋼板の振動を減衰させることにより消音効果を得る素材ですので、天井鋼板に直接貼り付けます。有名どころでは、「レアルシルト」「レジェトレックス」などがありますが、先ほど紹介した動画内にもありますように低価格の「MP」などとそんなに性能差が無いようです。したがって、コストを優先して、MPと同等品と思われる次の商品を楽天市場(アマゾンより安かったので)で購入しました。(「」内の商品名はアマゾンでの検索結果にリンクされています)

デッドニングシート ee317

幅460mm、長さ5000mm、厚さ2.3mm、重量約9kgの、アルミとブチルゴムで構成されたシートで、接着剤が塗布してあります。購入段階で天井面積の何%程度に貼付するのかを決めかねていたので、とりあえず1ロール購入しましたが、後ほど追加購入しています。ブチルゴムの色は黒と白を選択でき、初回は黒を、追加分は黒の在庫が無かったので白を購入しました。重量、接着性、作業性など、色の違いによる差は感じられませんでした。


吸音材(断熱材)

吸音、遮音目的で制振材の表面に貼り付けます。あわよくば断熱もしてくれるんじゃないかと期待しています。吸音材の有名どころでは、「シンサレート」「カームフレックス」などがあり、良く記事に上がっていますが、やはり高価なので比較的安価な高密度ウレタンチップを選択しました。選択した理由は発泡材の中では比較的高密度であったことと、楽天の商品説明で自動車の吸音、遮音材などとして採用されていると言った記載があったためです。この記載を信用して良いのかどうかは微妙ですけど。

1センチ厚×120×200 規格外の硬さのウレタンチップ CH406

購入した店舗では、密度の違いで四種類のラインナップがあり、その中で一番高密度(100kg/m^3)のものを購入しました。貼付用の接着剤は塗布されていませんので別途用意する必要があります。
吸音材については天井全面に貼ることを決めていたので、面積から判断し二枚購入しました。結構余りますが、ボディー側面や底面に貼り付ける予定です。


ここで吸水性の話を少し。先に紹介した動画内で吸水実験をしていますが、ウレタンチップが比較対象に入っていません。少々気になったので自分で簡単な実験をしてみました結果、残念ながらこのウレタンチップ、結構、水を吸収します。水を張った水槽の中に完全に沈めて放置した場合、ウレタンチップ重量の八倍程度の水を吸収しました。天井鋼板に貼った制振シートとウレタンチップの間に、どれほどの結露が発生するのかが不明ですので、問題になるのかどうかすら分かりませんが、結露水によるカビなどが気になるようでしたら止めといた方が無難かもしれません。私はもう買っちゃったのでこれを使います。
厚さの10mmについてですが、ルーフメンバー自体の高さが10mm程度ですので、この厚さを選びました。ルーフメンバーに貼らないで制振シートと同じ位置に貼付する場合にはもう少し厚みがあっても大丈夫かもしれません。(場所によって様々なので一概には言えませんが。)

制振シート、吸音材、コーキングの施工断面図。

ルーフメンバーと吸音材の張り出し具合の実際はこんな感じになります。

両面テープ

ウレタンチップ接着用の両面テープです。粗面への接着性と温度変化による接着力変化などを考慮して選択しました。テープ幅にバリエーションがいくつかあります。あまり狭いと貼付に時間が掛かりそうなので、ガムテープなどで使い慣れた50mmを購入しました。

テープの仕様については次のpdfファイルに詳しく書いてあります。

EW-514 (NJ_EW514_JA.pdf)

貼付面積割合の検討

さて、材料も手元に届き、ルーフライニングの取り外しも完了(前々回記事)し、後は制振材などを貼って行く段階になりましたが、実はまだどの程度の面積に貼るのかを決めかねていました。判断材料の一つとした下記のグラフはレジェトレックスを利用した場合の鋼板面積と貼付面積の割合と静音化の関係を表しています。面積比50%あたりを超えてくると貼る面積を増やしても効果があまり上昇しないことが読み取れます。今回利用するee317でも同じような傾向だと思います。

ただ、このデータは、測定方法が分からないので、鋼板を叩いたときに鋼板自体が発する騒音を測定したものなのか、周りで発生した騒音が鋼板を通過するときに減衰する量なのか、が今ひとつ不明瞭です。もし、グラフが前者の結果であるのなら後者の結果は面積の比率が高くなっても頭打ちになっていないかもしれないですし、逆の場合でも同様に比率を上げることに意味を見いだせるかもしれません。ということで、私の性格上、たとえ50%で貼付したとしても100%の結果も知りたくなるのは目に見えていますので、100%貼り詰めることとしました。

なお、上記グラフはNIttoの公式サイトのカタログから引用しています。興味のある方はご覧になってください。pdfファイルが開きます。

Nitto 自動車関連製品カタログ

貼付作業

制振材

幅460mmのロール状の制振シートを長さ200mm~400mm程度に切断し、車両左右方向の貼り幅を三枚分隙間無く貼って1380mmとしました。左右に僅かな未貼付部分が出来ますが無視することとします。

切断はローラーカッターで行っています。ブチルゴムや粘着剤が刃にまとわりつくかと思いましたが、全くといって良いほどくっつきませんでした。

貼付時に圧力をかけないと本来の接着力に達しないという話を良く聞きますので、ローラーで圧力を加えています。ローラーは3Dプリンターで自作したものです。市販品購入も考えましたが、R部分に使えそうな適当なものが見当たらなかったので、平面用とあわせて二種類ほど製作しました。

平面用ローラー
天井の凹み部分用のRタイプローラー

前述しましたように100%の面積比で貼り付けようと決めたのが1ロール購入した後の作業直前だったので、とりあえず1ロール分の貼り付け作業を進めました。1ロール5000mmが、残り250mmになるまで消費した時点での写真が以下のものです。テールゲート開口部と最後部ルーフメンバーの間が未施工となりました。追加発注分が届き次第貼り足します。

制振シート1ロール分を貼り終えた状態。
最後部ルーフメンバーの後ろの一区画分が足りませんでした。

ルーフメンバーのシーリング

効果があるのか無いのかさっぱり分からないのですが、天井鋼板とルーフメンバーの隙間をコーキング材で埋めてみました。使用したのはホームセンターで普通に売ってる変成シリコンタイプです。

吸音材

幅1200mmはそのままで、長さを200mm~400mm程度ずつに切断して貼り付けました。1200mmでは少々短いので、左右の足りない部分を貼り足しています。この素材はローラーカッターよりはさみの方が簡単に切れました。

両面テープは全面に貼り付けています。

両面テープの仕様書に、「感圧性粘着剤ですので、圧着はローラー・またはプレスにて十分行ってください。圧着が不十分な場合、特性及び外観に影響を与えます。」といった注意書きがありますので、しっかりと圧着します。

電気配線、ウォッシャー液チューブの処理

ルーフライニングに貼り付けてあった電気配線とウォッシャー液チューブの処理ですが、元のように貼り付けてしまうと、次、何かの用で外すときに面倒なのでウレタンチップを2重に貼って挟み込んでいます。

幅の半分に両面テープを貼り付けて、残りの部分でチューブを挟み込んでいます。
左側の電気配線も同様の方法で固定しています。

追加発注分も含めて、全てを貼り終えた写真です。

効果

すみません。定量的な検証は一切いたしておりません。すべて感覚的な話にはなりますが、屋根をコンコンと叩いたときの高級感のある音であったり、目的である雨音の静音化については非常に満足のいく結果です。しかし、あくまでも雨音に対する評価です。通常走行時のロードノイズに関しては変わらない気がします。それと一つだけデメリットも感じました。既に慣れてしまって気にならなくなっているのですが、10kgを超える制振吸音材を天井という高い場所に貼り付けた事により、コーナーでのロールが明らかに増加しました。ただし、コーナーを楽しむ車でもないですし、こんなもんだと思って走れば、私には許せる範囲です。「いや、それは困る」と考える方でしたら、制振シートの全面貼付は止めた方が良いと思います。

あとがき

いや~、静かになりました。これで、雨の車中泊が快適になりそうです。ただ、あまりにも天井が静かになったので、今度はフロントフードパネル(ボンネット)を叩く雨音が非常に耳につくようになりました。次の遮音箇所が決定した気がします。

今回はこの辺で。では、また。

2022/09/06 追記
「あとがき」にてボンネットの音が気になると申しましたが、その感想は実はホースで局部的に水をかけたときのものでした。本日雨の中を乗車してきたところ、ボンネットではなく車両後部からの音が一番うるさく感じました。おそらくテールゲート上部での音だと思います。次にうるさいのがフロントウィンドウです。ボンネットはそれらの音にかき消されてあまり気になりませんでした。訂正してお詫び申し上げます。
テールゲート上部からと思われる音は、降雨時の車中泊では、かなり気になるレベルだと私は感じました。ただ、この場所、鋼板の内側に手が入らないため制振シートを貼れそうもありません。発泡ウレタンを注入するにしてもハイマウントストップライトとウィンドウウォッシャーがありますので、故障時の対応が難しくなりそうです。さて、どうしたものか。

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