Ultimaker Cura が 4.11.0 にバージョンアップ。 変更点を解説。

3Dプリンター

2021/09/07にCuraの新しいバージョン 4.11.0 がリリースされました。4.10.0 がリリースされたのが6月29日ですので、2ヶ月ちょっとでのバージョンアップとなります。バージョンアップが早い分、変更箇所も少なめですが、アイコンの刷新などにより見た目も魅力的になっています。また、トップスキンを綺麗に印刷するための新しいプリント設定項目が追加されています。では、詳しく見ていきましょう。


トップ/ボトム スキン印刷順を一定方向に

プリント設定の中に、最上層の印刷の美観を良くするため、一定方向に印刷を進める設定が加わりました。英語ではmonotonic orderと表記されています。スキンを印刷する際に今までは、移動がなるべく少なくなるよう印刷順が決定され、印刷方向に一貫性がありませんでしたが、新たなこの項目を有効にすると同一方向に印刷されます。
動画の上側が旧来の印刷順で、下側が新しい設定での印刷順です。印刷方向を優先するため旧来の場合より印刷時間は僅かに長くなっているようです。


印刷を一定方向にすると表面がきれいに見えるのはなぜ?

例えば、ライン幅0.4mm、レイヤー高さ0.2mmの設定で押し出されて定着したフィラメントは、断面が 0.4mm×0.2mm のきれいな長方形で整然と並ぶのではなく、角は丸まり、隣のラインとも干渉してしまいます。この時の微妙な干渉がライン表面の平面度や傾斜に影響を与え、印刷後の光の反射に変化をもたらすと予想できます。印刷方向を同じにしておけば、同じ側のラインに干渉し、同じように変形し、同じ向きに傾きますので、印刷は分断されても印刷後の反射は一定となり美観を保てることを期待していると思われます。


実際に印刷してみると

プリンターがポンコツなのか、設定が悪いのか、期待していたほど違いがありませんでした。確かに光の反射具合は違って見えますが、おぉ、綺麗だ。とはならないです。良い条件が見つかれば印象も変わるかも知れません。写真は下側がMonotonic Order です。

写真では反射による違いをうまく再現することが出来ませんでした。

設定できるのは三箇所

印刷方向に一貫性を与えられるのは次の三箇所です。

トップ/ボトムのスキン

プリント設定の「トップ/ボトム」カテゴリーに [上面/底面の方向一貫性](Monotonic Top/Bottom Order)という項目が追加されています。これを有効にするとトップスキンだけでなく、ボトムスキンを含めた全てのスキンが一定方向に印刷されます。なお、この項目は [上層/底層パターン] が ”直線” または ”ジグザグ” の時のみ表示されます。

関係のない項目は全て非表示にしています。

上部表面レイヤー

「トップ/ボトム」カテゴリーの [上部表面レイヤー] 項目に1以上の値を設定した場合に、「実験」カテゴリーに [上面方向一貫性](Monotonic Top Surface Order)という項目が表示され、[上部表面レイヤー] に設定した数の上部レイヤーのみ一定方向に印刷されます。ボトムスキンやトップスキンの下層などの上面美観に関係ない部分はいつも通りの印刷順で印刷時間を稼ぎ、表面のみに方向一貫性を持たせたいときなどに使えそうです。上部表面パターンが ”直線” または ”ジグザグ” の時のみ表示されます。

アイロンが有効な平面

「トップ/ボトム」カテゴリーの [アイロン有効] をチェックした場合に、[アイロン方向一貫性] (Monotonic Ironing Order)という項目が表示され 、アイロン印刷時の印刷方向に一貫性を持たせることが出来ます。アイロンパターンが”ジグザグ”の時のみ有効です。


アイコンの刷新

アイコンがよりわかりやすく、魅力的に変更されました。全体で100を超えるアイコンが変更されているらしいのですが、アイコンって100もあったっけって感じです。よく見かけるアイコンは次のように変更されてます。

バージョン4.10.0
バージョン4.11.0
バージョン4.10.0
バージョン4.11.0
バージョン4.10.0
バージョン4.11.0

また、UIがらみに関しては、リリース時の文章には以下のように書いてあります。
「Also, when scaling the Ultimaker Cura window, the UI will adapt, resulting in less visual clutter.」
がしかし、ウィンドウをどうスケーリングしてみても、何処がどう変わっているのかよくわかりませんでした。


ベータ版とプラグインのリリースに関する通知設定

新しいバージョンがリリースされた時に、画面下部中央にそれを知らせる案内が表示されますが、この案内表示について詳細に設定できるようになりました。
今までは、プレファレンスの一般タブ内の下方にプライバシー項目の一部として細々と存在していただけでしたが、

4.10.0 のプレファレンス画面。下方にある”スタート時にアップデートあるかどうかのチェック”が該当。

新しいバージョンでは、アップデートとして単独の項目が与えられ、安定版、ベータ版の選択や、プラグインのアップデートの通知も選択出来るようになっています。

4.11.0 のプレファレンス画面。

Settings Visibility 内での検索が説明文も対象に

プレファレンスの設定タブの Settings Visibility において、検索の対象が項目の説明文にまで広がりました。

今までのバージョンでは、例えば、下図のように ”造形” で検索をかけると、設定項目名である「造形温度」しか抽出されませんでした。

新しいバージョンでは、各項目にマウスカーソルを乗せた時に表示される説明文も検索の対象になりましたので、検索語に関係するいろいろな項目が抽出されます。

レイヤー高さの上にあるマウスカーソルがスクリーンショットでは消されていますが、
レイヤー高さについての説明が表示されている状態です。
その説明文中の”造形”が検索に引っかかるようになりました。

バグフィックス

いつものように、いくつかのバグが修正されているようです。英語ですけど一応引用しておきます。

  • Fixed the setting visibility button to make it easier to click
  • Inform the user that their webcam does not work because they are cloud connected
  • Inform the user that their webcam does not work if the firewall is enabled
  • Fixed a crash when pressing the slice button while context menu is opened
  • Support non-ASCII character in the Digital Library project name
  • Fixed integer underflow if print is less than half the initial layer height
  • Fixed a bug where infill mesh sometimes default to having walls or skin
  • Fix builds with Python 3.8, contributed by StefanBruens
  • Fix CC settings for PLA
  • Fixed memory leak in Zeroconf 0.25
  • Fixed connecting USB printing with detecting baud-rates, contributed by rrrlasse
  • Fixed crash when Cura crashes on exit
  • Fixed a bug where the infill goes through walls
  • Fixed the version upgrade of preferences file
  • Fixed missing icons in deprecated icons list, contributed by fieldOfView
  • Fixed a crash in CuraEngine when the prime tower is placed in an invalid position
  • Fixed a bug when user is unable to sign in on Linux if a Keyring backend is installed
  • Fixed the rotation direction of the 90 degrees rotation arrows, contributed by fieldOfView

プリンタプロファイルの追加

こちらもいつものように、プリンターとマテリアルの定義が追加または変更されています。手持ちのプリンターが関係しているとテンション上がりますけど、今回、私には関係ありませんでした。みなさんはいかがですか?

  • Added SecKit SK-Tank, SK-Go printer definitions, contributed by SecKit
  • Added MP Mini Delta 2 printer definition, contributed by PurpleHullPeas
  • Added Kingroon K3P and K3PS printer definitions, contributed by NoTaMu
  • Added Eryone PLA, PLA Wood, PLA Matte and PETG 1.75mm profiles, contributed by dapostol73
  • Added BIQU BX printer definition, contributed by looxonline
  • Added FLSun Super race printer definitions, contributed by thushan
  • Added Atom 2.0 and Atom Plus printer definitions, contributed by lin-ycv
  • Added PBR 3D Gen-I printer definition, contributed by pbr-research
  • Added Creasee 3D printer definitions, contributed by ivovk9
  • Updated Strateo3D profiles, contributed by ChronosTech
  • Added Voron V0 printer definitions, contributed by jgehrig
  • Updated Liquid profiles, contributed by alexgrigoras
  • Added Farm 2 and Farm2CE printer definitions, contributed by saliery999
  • Added GooFoo and Renkforce print definitions and GooFoo materials, contributed by goofoo3d

その他の新機能

Ultimaker製のプリンターを使っててクラウドに繋がっている人向けの以下のような機能向上があったようです。私にとっては未知の世界ですので、解説することが出来ません。

  • デジタルライブラリの利用がより便利に
  • 材料プロファイルをUSBへ保存
  • OAuthフローのエラーログを改善

関連する公式サイトのリンクを貼っておきますので、興味ある方はどうぞ。


関連事項

Cura Settings Guide が2.7.1にバージョンアップ

マーケットプレイスにあるプリント設定の解説プラグイン「Cura Settings Guide」が 2.7.1 にバージョンアップしています。残念ながら今回のバージョンアップでも日本語には対応しませんでしたが、新機能の Monotonic Top/Bottom Order などはしっかり説明されています。今回の記事の ” 印刷を一定方向にすると表面がきれいに見えるのはなぜ?” の部分もこちらを参考にしています。
英語に抵抗のない方は是非入れてみてください。大変便利です。
プラグインの導入方法については過去に記事を書いています。Cura のバージョンが、4.9.0 でプラグインのバージョンが2.6.0 の時のものですが、導入方法や設定方法は変わっていませんので、参考にしてみてください。


サポートOSの変更

バージョン4.11以降では、アクティブに保守されているOSでのみをサポートをするそうです。すなわち、Windows7やMacOs10.13などがサポートから外れること意味します。ただ、これらのOSでのテストや開発をしないということだけらしいので、Curaが動作しなくなることは少ないと思われます。


あとがき

これだけ頻繁にバージョンアップするほど精力的に開発が続いているのはありがたいことなのですけど、逆に、これだけ頻繁にバージョンアップするのであれば、怪しい日本語訳を直そうと思えば、その機会はいくらでもあると思うんですよね。Ultimaker の日本の代理店(があるのかどうかも知らないけれど)に発言力は無いんですかね。微妙なニュアンスの違いなら目をつぶれますけど、明らかな誤訳もありますものね。

では、では、またこんど。

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